メンズエステで働いていることを後ろめたく感じるあなたへ。「ちゃんとした仕事」って何だろう

「仕事、何してるの?」と聞かれると困る
初めて会った人との会話で、よく聞かれることがあります。
「お仕事、何してるんですか?」
会社員なら会社員。
看護師なら看護師。
美容師なら美容師。
たぶん、それほど迷わず答えられるでしょう。
でも、メンズエステで働いているセラピストの中には、この質問に少し困る人もいると思います。
「接客業です」
「美容系です」
そんなふうに、少しぼかして答える。
別に嘘をついているわけではない。
でも、本当のことを全部言っている感じもしない。
そして、家に帰ってから少し考える。
「なんで私、普通に言えないんだろう」
「やっぱり後ろめたいと思っているのかな」
今回は、そんな気持ちについて考えてみたいと思います。
後ろめたさは、どこから来るのだろう
そもそも、後ろめたいとは不思議な感情です。
誰かに怒られたわけではない。
法律に反することをしているわけでもない。
自分なりに仕事をしている。
それでも、「人に知られたらどう思われるだろう」と気になる。
なぜでしょう。
たぶん、私たちは自分一人で仕事の価値を決めているわけではないからです。
世の中には、「ちゃんとした仕事」という曖昧な言葉があります。
正社員。
安定している。
有名な会社。
資格がある。
昼間に働く。
長く続けられる。
そういう条件が揃うほど、「ちゃんとしている」と見られやすい。
反対に、世間からよく知られていない仕事や、働き方が一般的ではない仕事は、「それって大丈夫なの?」と見られることがあります。
でも、ここで一度考えてみたい。
「ちゃんとした仕事」の「ちゃんと」とは、いったい何なのでしょう。

仕事にはなぜ「格」があるように見えるのか
医師と聞くと、「すごいですね」と言われる。
弁護士でも言われる。
大企業に勤めていると言っても、「安定していていいですね」と言われるかもしれません。
反対に、職業によっては説明した瞬間に、相手の表情が少し変わることがあります。
仕事には、目に見えないランキングのようなものがある。
でも、考えてみれば変な話です。
仕事とは基本的には、誰かが必要としていることを行い、その対価としてお金を受け取るものです。
料理を作る。
髪を切る。
荷物を運ぶ。
部屋を掃除する。
文章を書く。
身体を使って施術する。
形は違いますが、どれも誰かの需要があるから仕事になっています。
もちろん、仕事には法律や倫理、働く人の安全といった大切な問題があります。
しかし、それとは別に、
「なんとなく立派そう」
「なんとなく人には言いにくそう」
という社会的なイメージもあります。
私たちは、そのイメージまで仕事そのものの価値だと思ってしまうことがあります。
他人の目は、いつの間にか自分の目になる
哲学者サルトルは、他者から「見られること」が人間の自己意識に大きく関わることを考えました。
誰かから見られると、私たちは自分を「相手から見た自分」として意識します。
メンズエステの仕事についても同じことが起きるのかもしれません。
実際には誰も何も言っていない。
でも、
「友達に知られたら、こう思われるかな」
「親ならどう思うだろう」
「昼職の同僚に知られたら」
と想像する。
すると、その想像上の他人の目で、自分を見るようになります。
「私って、ちゃんとしていないのかな」
他人からまだ言われてもいない言葉を、自分で自分に言ってしまう。
人間は不思議です。
世間の目は、いつの間にか自分の目になります。
だから、後ろめたさを感じた時には、
「私は本当にこの仕事を悪いと思っているのか。それとも、誰かが悪いと思うかもしれないことを怖がっているのか」
と分けて考えてみてもいいでしょう。
これは、かなり違う二つの問題です。

仕事と人格は同じではない
もう一つ、私たちは職業からその人全体を判断しすぎるところがあります。
「医師です」
と聞いただけで、知的で立派な人を想像する。
「経営者です」
と聞くと、仕事ができそうに思う。
でも当然、医師にもいろいろな人がいる。
経営者にもいろいろな人がいる。
職業だけで人格はわかりません。
同じように、「メンズエステのセラピスト」という言葉だけで、その人がどんな人なのかはわかりません。
優しい人かもしれない。
雑な人かもしれない。
本をたくさん読む人かもしれない。
子育てをしている人かもしれない。
別の夢のためにお金を貯めている人かもしれない。
一つの職業名では、一人の人間を説明できません。
仕事はあなたの一部です。
でも、あなたの全部ではありません。
これは、この連載で何度も書いてきたことでもあります。
「人に言わない」と「恥じる」は違う
では、後ろめたさをなくすために、
「私はメンズエステで働いています」
と誰にでも堂々と言うべきなのでしょうか。
私は、そうは思いません。
言いたくなければ、言わなくていい。
自分の仕事を誰にどこまで話すのかは、自分で決めることです。
プライバシーと恥は違います。
住所を誰にでも教えないからといって、自宅を恥じているわけではありません。
貯金額を話さないからといって、お金を恥じているわけでもない。
同じように、仕事について話す相手を選ぶこともできます。
大切なのは、
「言えない私はダメだ」
と自分を責めないことです。
話さないことを、自分で選んでいる。
そう考えればいい。
自分の人生には、他人に説明しなくてもいい部分があります。

では「ちゃんと働く」とは何だろう
ここまで考えると、「ちゃんとした仕事」という言葉より、「ちゃんと働く」という言葉の方が大切なのではないかと思えてきます。
約束した時間を守る。
お客様を雑に扱わない。
嫌なことは嫌だと言う。
自分の身体も大切にする。
お金について考える。
必要なルールを守る。
そして、自分なりに仕事と向き合う。
これは職業名とは関係ありません。
どんな立派な肩書きがあっても、人を傷つけながら働く人はいます。
反対に、世間から目立たない仕事でも、目の前の人を大切にして働いている人がいます。
「何の仕事をしているか」と、
「どんなふうに仕事をしているか」。
似ていますが、別の問いです。
私は後者の方が、その人について多くのことを教えてくれる気がします。
まとめ 職業名だけで、自分を説明しなくていい
メンズエステで働いていることを、人に言いにくい。
少し後ろめたい。
そんな気持ちがあっても不思議ではありません。
人間は社会の中で生きています。
他人からどう見られるかを、完全に気にしなくなることは難しいでしょう。
でも、「世間からどう見えるか」と「自分がどう生きているか」は同じではありません。
だから時々、自分に聞いてみてください。
私は、自分の納得できる働き方をしているだろうか。
誰かを不当に傷つけていないだろうか。
自分自身も大切にできているだろうか。
そこに自分なりの答えがあるなら、誰かが作った「ちゃんとした仕事ランキング」に、自分の人生を全部預けなくてもいい。
そして、仕事を誰かに言わないという選択をしてもいい。
人に説明できる人生だけが、正しい人生ではありません。
職業は、人間につけられた短いラベルです。
ラベルは便利です。
でも、その人がどんなふうに笑い、何を大切にし、誰を愛し、何に悩み、どう働いているのかまでは書けません。
だから、
「仕事、何してるの?」
と聞かれて答えに迷う日があってもいいのだと思います。
あなたは、職業欄に書く数文字より、ずっと大きな人間なのですから。
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