メンズエステで苦手なお客様を接客するのがつらい。「誰にでも好かれなければ」と思っていませんか

予約表を見た瞬間、「あ、この人か」と思ってしまう
メンズエステで働いていると、いろいろなお客様に出会います。
話していて楽しい人。
自然体で接することができる人。
施術が終わったあと、「今日も楽しかったな」と思える人。
でも、すべてのお客様がそうとは限りません。
予約表を見て、
「あ、この人か……」
と少し気持ちが重くなることもあるでしょう。
何かひどいことをされたわけではない。
NGにするほどでもない。
でも、なぜか苦手。
会話のテンポが合わない。
距離感が近すぎる。
ずっと話しかけてくる。
逆に、何を話しても反応が薄い。
こちらのちょっとした言葉を細かく気にする。
理由をうまく説明できないけれど、会うと疲れる。
そんな人はいると思います。
そして真面目な人ほど、そのあと自分を責めます。
「お客様なのに、こんなふうに思ったらダメだよね」
でも、本当にそうでしょうか。
人には「相性」がある
友達について考えてみれば、わかりやすいと思います。
世の中にはたくさんの人がいます。
その全員と友達になれる人はいません。
悪い人ではない。
嫌いでもない。
でも、なぜか一緒にいると疲れる。
反対に、初めて会ったのに話しやすい人もいる。
人間には相性があります。
性格。
話す速さ。
声の大きさ。
沈黙の取り方。
距離感。
冗談の感覚。
何を心地よいと思うか。
何を不快だと思うか。
こうした小さな違いが重なって、
「この人とは合う」
「この人とは少し合わない」
という感覚になります。
ところが仕事になると、私たちは突然、この当たり前を忘れます。
「お客様なのだから、誰とでもうまくやらなければならない」
と思う。
もちろん、仕事ですから丁寧に接することは必要でしょう。
でも、

丁寧に接することと、その人を好きになることは別です。
ここを一緒にすると、接客はかなり苦しくなります。
「苦手」と思うことまで禁止しなくていい
人間の感情は、命令して動かせません。
「この人を好きになりなさい」
と言われて好きになれるものではない。
逆に、
「この人を苦手だと思ってはいけない」
と言われても、苦手なものは苦手です。
哲学者スピノザは、人間の感情を、単純に善悪で裁くのではなく、その感情がどのように生じているのかを理解しようとしました。
これは接客でも大切な考え方だと思います。
「この人、苦手だな」
そう感じた。
そこで、
「そんなことを思う私はセラピスト失格だ」
と自分を責める。
すると、一つだった苦しさが二つになります。
一つ目は、そのお客様と接する疲れ。
二つ目は、その人を苦手だと思っている自分への嫌悪です。
だったら、まず一つ目だけでいい。
「私はこの人が少し苦手なんだな」
そこで止めてみる。
好きになる必要もなければ、自分を責める必要もありません。
感情は、行動とは違います。
苦手だと思うことと、雑に接客することは同じではありません。

接客とは「好きになる仕事」ではない
ここは意外と重要です。
接客業というと、
「お客様を好きになる」
「お客様に喜んでもらう」
「お客様との時間を楽しむ」
といった言葉がよく使われます。
もちろん、そういう接客ができる時は素敵です。
でも、毎回それを求めると無理が出ます。
セラピストも人間です。
今日は気分がいい。
今日は疲れている。
話したい日もある。
静かにしていたい日もある。
そして、お客様にもさまざまな人がいる。
だから、すべてのお客様との時間を心から楽しめなくても不思議ではありません。
私は、接客の最低限はもっと静かなものでもいいと思います。
約束した時間を守る。
必要な施術をする。
失礼な態度を取らない。
相手の話を必要な範囲で聞く。
できないことには、できないと言う。
それでいい。
「大好きなお客様です」と心から思えなくても、丁寧な仕事はできます。
仕事とは、感情そのものを売ることではありません。
「嫌われたくない」が苦しさを大きくする
苦手なお客様ほど、逆に気を遣いすぎることがあります。
「この人、ちょっと苦手だな」
と思っているからこそ、
嫌われないようにしよう。
機嫌を悪くさせないようにしよう。
もっと話さなきゃ。
もっと笑わなきゃ。
もっと合わせなきゃ。
と頑張る。
すると、さらに疲れます。
ここには少し不思議なことが起きています。
こちらは相手を苦手だと思っている。
なのに、その相手からは好かれたい。
なぜでしょう。
たぶん、
「お客様に嫌われた=自分の接客が悪かった」
と思ってしまうからです。
でも、人間関係には相性があります。
あなたがどれだけ丁寧に接しても、合わない人はいる。
逆に、それほど頑張らなくても自然に気に入ってくれる人もいる。
全員から好かれることを目標にすると、自分の形を相手ごとに変え続けなければなりません。
それは疲れて当然です。

「好かれる」と「信頼される」は違う
ここで一つ、目標を変えてみてもいいと思います。
「お客様から好かれる」
ではなく、
「お客様から信頼される」。
この二つは似ていますが、少し違います。
好かれようとすると、相手の期待に合わせたくなります。
でも、信頼されようとすると、自分の態度を一定にすることが大切になります。
できることはする。
できないことはしない。
約束を守る。
無理な要求には線を引く。
誰に対しても必要な礼儀を保つ。
これは、相手によって自分を大きく変えなくてもできます。
むしろ、いつ会っても態度が安定している人の方が安心できることがあります。
「何でも言うことを聞いてくれる人」より、
「この人はここまではしてくれる。でも、ここからはしない」
とわかる人の方が、長く付き合いやすい。
接客に必要なのは、愛想だけではありません。
一貫性もまた、安心感を作ります。
苦手という感覚が、自分を守っていることもある
そして、「苦手」という感覚を全部悪者にしない方がいい理由がもう一つあります。
人間の身体は、頭で理由を説明するより先に何かを感じることがあります。
この人といると緊張する。
妙に疲れる。
距離を取りたい。
なんとなく嫌な感じがする。
もちろん、すべての直感が正しいとは限りません。
単なる思い込みのこともあります。
でも、自分の感覚を最初から全部無視する必要もありません。
メルロ=ポンティの哲学では、身体は単なる物体ではなく、私たちが世界とかかわるための大切な基盤として考えられます。
頭では、
「いいお客様だから」
と思っている。
でも身体は緊張している。
そういうこともあります。
そんな時には、
「なぜ私はこの人といると疲れるんだろう」
と少し考えてみてもいい。
距離が近すぎるのか。
会話で否定されることが多いのか。
要求が少しずつ大きくなっているのか。
自分が必要以上に気を遣っているのか。
「苦手」は、まだ言葉になっていない自分からの知らせであることもあります。

もちろん、「苦手」と「危険」は分けて考える
ただし、ここは分けておかなければなりません。
単純に相性が合わないことと、明確に不適切な言動をされることは別です。
嫌な要求を繰り返される。
ルールを守らない。
威圧的な言動がある。
こちらが拒否していることを何度も求めてくる。
そうした場合まで、
「接客業だから私が我慢しなければ」
と考える必要はありません。
お店のルールに従い、必要ならスタッフに相談する。
自分一人で抱え込まない。
それは「好き嫌い」の問題ではなく、自分を守るための問題です。
優しい人ほど、
「私の対応が悪いのかな」
と自分の側に原因を探します。
でも、人間関係には、自分が努力すれば全部解決する問題と、そうではない問題があります。
そこを区別することも大切です。
まとめ 誰にでも好かれなくても、丁寧には働ける
メンズエステで苦手なお客様を接客する。
気が重い。
できれば予約が入ってほしくないと思う。
そんな自分に気づくと、
「私は接客業に向いていないのかな」
と思う人もいるかもしれません。
でも、私はむしろ逆だと思います。
人と接する仕事をしているからこそ、
「人には相性がある」
という当たり前を忘れない方がいい。
すべてのお客様を好きになる必要はありません。
すべてのお客様から好かれる必要もありません。
好きではなくても、丁寧に接することはできます。
苦手でも、約束した仕事はできます。
そして、どうしても越えてほしくない線には、線を引いていい。
接客とは、自分の感情を消して、誰にでも同じ笑顔を貼りつけることではありません。
人間である自分のまま、相手に必要な敬意を払うことです。
だから、
「この人、ちょっと苦手だな」
と思った時には、その感情を慌てて消さなくてもいい。
「ああ、私はこの人が少し苦手なんだ」
と認める。
そのうえで、
「では、今日はどんな仕事をしよう」
と考える。
それで十分です。
誰にでも好かれる人になる必要はありません。
誰に対しても、自分を失わずに接することのできる人になる。
接客を長く続けるためには、その方がずっと大切なのだと思います。
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