メンエスを辞めたら、私はただの人になってしまう気がします
- 質問
メンズエステで何年かセラピストをしています。ありがたいことに指名してくださるお客さんも増えて、出勤すると「会いたかった」「今日を楽しみにしていた」と言ってもらえることがあります。SNSに写真を載せれば反応をもらえるし、お客さんから褒めてもらえることも多いです。
でも最近、そろそろメンエスを辞めようかなと考えるようになりました。ずっと続ける仕事ではないような気もするし、昼の仕事に戻ることも考えています。
ただ、辞めたあとの自分を想像すると、なぜか怖くなります。今は誰かが私に会うためにお金を払ってくれる。でもメンエスを辞めたら、誰からも求められない「ただの人」になるような気がするんです。
こんなことを考えるのは変でしょうか?
- 回答

1.それは、けっこう自然な感覚だと思います
私は、この感覚はそれほど珍しいものではないと思います。
メンズエステに限りません。
芸能人が引退したあとに寂しさを感じる。会社で役職についていた人が定年退職したあと、「自分には何もなくなった」と感じる。子育てに人生の多くを使ってきた人が、子どもが独立したあとにぽっかり穴が空いたようになる。
人間は、社会の中で何らかの「役割」を持って生きています。
セラピストもひとつの役割です。
しかもメンズエステの場合、その役割に対する反応がかなりわかりやすい。
指名本数、予約、売上、SNSのいいね、お客さんからの「かわいい」「会いたかった」。
自分が求められていることが、目に見える形で返ってきます。
だから、それが突然なくなると考えたら、怖くなるのは当然だと思います。
2.「会いたい」と言われる仕事には、強い力がある
考えてみれば、「あなたに会いたい」と言ってもらえる仕事は、それほど多くありません。
会社員なら、「あなたに会いたかった」と言われながら出社することはあまりないでしょう。
でも人気のあるセラピストさんなら、お客さんから普通に言われます。
「今日ずっと楽しみにしてた」
「やっと予約取れた」
「また会いたかった」
これはかなり強い言葉です。
人間には「誰かから必要とされたい」という欲求があります。
だから、そういう言葉を何年も受け取っていると、それが日常になります。
そして、その日常を失うことが怖くなる。
これは「承認欲求が強いからダメ」という単純な話ではありません。
人間はそもそも、誰かとの関係の中で自分の存在を確認しながら生きているからです。

3.ただし、「セラピストとしての価値」と「あなたの価値」は違います
ここは少し冷静に考えてみましょう。
お客さんがあなたに会うために2万円を払ったとします。
では、「あなたという人間には2万円の価値がある」という意味でしょうか。
違いますよね。
その2万円は、決められた時間、施術、空間、接客、そしてあなたと過ごす体験に対して支払われています。
つまり、商品としてのサービスに価格がついている。
あなたという人間そのものに値札がついているわけではありません。
ここを一緒にしてしまうと、少し危険です。
予約が埋まれば、「私は価値のある人間だ」と思う。
予約が入らなければ、「私は価値がない」と思う。
そうなると、自分の価値が予約表によって毎日上下してしまいます。
でも、人間の価値というのは、本来そんなものではないでしょう。
4.「ただの人」になるのは、そんなに悪いことでしょうか
そして私は、「ただの人」という言葉が少し気になります。
メンエスを辞めたら、ただの人になってしまう。
でも、ただの人で何がいけないのでしょう。
朝起きて、コーヒーを飲む。
仕事に行く。
友達とくだらないLINEをする。
スーパーで夕飯を買う。
疲れたら寝る。
誰もあなたを指名しないし、SNSに写真を載せても何百人から反応が来るわけでもない。
でも、それも人生です。
むしろ、人間の人生のほとんどは、そういう「誰からも評価されていない時間」でできています。
私たちはいつの間にか、評価されることに慣れすぎているのかもしれません。
いいねの数、フォロワー数、売上、年収、指名数。
数字がつかないと、自分が存在していないように感じる。
でも、あなたは誰にも評価されていないときにも、ちゃんと存在しています。

5.人気セラピストという「衣装」を脱ぐとき
私は仕事というものを、ひとつの衣装のようなものだと思っています。
セラピストという衣装。
会社員という衣装。
母親という衣装。
妻という衣装。
その場所に行けば、その衣装を着て振る舞います。
でも、衣装はあなたそのものではありません。
だから、いつか脱ぐ日が来てもいい。
問題は、長い間その衣装を着ていると、「これを脱いだら私は何者なのだろう」とわからなくなることです。
でも、それは衣装を脱いだからあなたが消えたのではありません。
むしろ、その下にいた自分が見えてきただけです。
最初は少し頼りなく感じるでしょう。
でも、その「何者でもない自分」ともう一度付き合ってみることも、人生には必要なのだと思います。
6.メンエスで身につけたものまで消えるわけではない
そして、メンズエステを辞めても、そこで経験したことまでなくなるわけではありません。
いろいろな男性と話したでしょう。
会社員もいれば、経営者もいる。若い人もいれば、ずっと年上の人もいる。
機嫌のいい人も、疲れている人も、少し面倒な人もいたでしょう。
そういう人たちと一対一で長い時間を過ごしてきた。
これは、かなり特殊な経験です。
相手の表情を読む力。
距離感を測る力。
話したい人と、黙っていたい人を見分ける力。
自分を守りながら人と関わる力。
それらは、店を辞めた瞬間に消えるものではありません。
次の仕事でも、人間関係でも、たぶんどこかで役に立ちます。
だから「メンエスを辞める」というのは、そこで過ごした人生を捨てることではありません。
そこで手に入れたものを持って、次へ行くことです。

7.辞める前に「セラピストではない時間」を増やしてみる
もし辞めるのが怖いのであれば、いきなり全部を切り替えなくてもいいと思います。
少しずつ「セラピストではない自分」の時間を増やしてみる。
SNSを見ない日をつくる。
仕事とは関係のない趣味を始める。
昔の友達に会う。
勉強してみる。
別の仕事を少しだけやってみる。
そこで、「指名されなくても楽しい私」を見つけていく。
これは、辞める準備というより、自分の世界をもう一度広げる作業です。
メンズエステだけが世界の全部になっていると、そこから出るのは怖い。
でも、世界がいくつかあれば、一つの場所を離れても人は立っていられます。
8.何者でもない自分に戻れることも、ひとつの自由です
メンエスを辞めたら、確かに今までのようには「会いたかった」と言われなくなるかもしれません。
SNSの反応も減るかもしれない。
収入も変わるでしょう。
少し寂しく感じる日もあると思います。
でも、その代わりに手に入るものもあります。
誰かに求められる自分でいなくてもいい時間です。
かわいくなくてもいい。
機嫌よくしなくてもいい。
誰かを癒さなくてもいい。
予約を気にしなくてもいい。
ただ、自分でいる。
それを「ただの人」と呼ぶのであれば、私は、ただの人というのも案外悪くないと思います。
何者かでなければ価値がないと思っていると、人生はずっと苦しくなります。
セラピストであるあなたも、もちろんあなたです。
でも、セラピストではないあなたも、同じようにあなたです。
仕事を辞めるということは、自分を失うことではありません。
ひとつの役割を終えて、まだ名前のついていない自分へ戻っていくことです。
その自分が次に何になるのかは、まだわかりません。
でも、わからないからこそ、次の人生が始まるのだと思います。
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