メンズエステの施術で体がしんどい。セラピストが「自分の身体」を後回しにしてはいけない理由

仕事が終わると、体がぐったりしている
メンズエステの仕事は、見た目以上に身体を使います。
長時間立っている。
中腰になる。
同じ姿勢を続ける。
腕や手を使う。
一日に何人も施術すれば、仕事が終わる頃には、
「腰が重い」
「脚がだるい」
「肩が痛い」
「もう動きたくない」
という日もあるでしょう。
それでも翌日になれば、また仕事に行く。
少しくらい痛くても、
「まあ、働けるから大丈夫」
と思う。
忙しい日なら、身体のことを考える暇もない。
そして気づけば、
「仕事ができるか、できないか」
だけで自分の身体を判断するようになります。
動ける。
だから大丈夫。
施術できる。
だから大丈夫。
でも、本当にそれでいいのでしょうか。
今回は、セラピストにとっていちばん身近でありながら、意外と後回しにされやすい「自分の身体」について考えてみたいと思います。
自分の身体を「仕事道具」にしていないか
料理人なら包丁を手入れします。
美容師ならハサミを大切にするでしょう。
仕事に必要な道具だからです。
では、セラピストにとって、いちばん重要な道具は何でしょう。
手。
腕。
腰。
脚。
身体全体。
そう考えると、
「身体は仕事道具だから、メンテナンスしなければ」
という話になりそうです。
もちろん、それも間違いではありません。
でも、私はこの言い方に少し引っかかります。
なぜなら、あなたの身体は、本当は「道具」ではないからです。
包丁は、壊れたら買い替えられます。
ハサミも交換できます。
でも、自分の身体は交換できません。
しかも身体は、仕事をする時だけ使っているものでもありません。
仕事が終わってから家に帰るのも、この身体です。
友達と遊ぶのも、この身体。
好きなものを食べるのも、この身体。
眠るのも、この身体。
誰かを好きになるのも、この身体。
つまり身体は、仕事のために所有している道具ではありません。

あなたが人生そのものを生きている場所です。
「まだ働ける」は「大丈夫」とは限らない
身体を後回しにしやすい人には、一つの基準があります。
「まだ働けるかどうか」です。
腰が少し痛い。
でも施術はできる。
肩が重い。
でも予約はこなせる。
寝不足。
でも出勤できる。
だから大丈夫。
この考え方を続けていると、身体からのサインは、仕事ができなくなるほど強くなるまで無視されます。
でも、本当は身体はもっと前からいろいろなことを伝えています。
今日は重い。
今日は疲れている。
少し休みたい。
この姿勢はつらい。
最近眠れていない。
身体は言葉を話しません。
代わりに、痛みや重さや眠気やだるさとして知らせてきます。
ところが私たちは、
「今週忙しいから」
「予約が入っているから」
「これくらいみんな我慢しているから」
と、その声を翻訳しないまま働き続けることがあります。
身体が黙っているのではありません。
こちらが聞かなくなっているのです。

メルロ=ポンティが考えた「身体」
フランスの哲学者メルロ=ポンティは、身体について深く考えた人です。
彼の考え方をとても簡単に言えば、人間は「頭が身体を操作している」のではない、ということです。
私たちは身体を通して世界に触れています。
朝起きて光を見る。
コーヒーの匂いを感じる。
誰かの声を聞く。
手で触れる。
寒いと感じる。
心地よいと感じる。
そうやって世界を生きています。
つまり、
「私」と「私の身体」
が別々に存在しているわけではない。
私は、この身体を通して世界の中にいます。
ところが仕事になると、身体を自分から切り離して考えやすくなります。
頭では、
「あと二人いける」
と思っている。
でも身体は、
「今日はもうきつい」
と言っている。
そんな時、いつも頭の命令だけを優先していると、自分の一部を置き去りにして働くことになります。
お客様の身体には気づけるのに、自分の身体には気づかない
セラピストという仕事には、少し不思議なところがあります。
人の身体には、とても敏感です。
今日は疲れていそう。
ここが張っている。
少し緊張している。
寒そうだ。
この体勢はつらそうだ。
お客様のちょっとした変化を感じ取る。
それが仕事でもあります。
ところが、自分の身体になると急に鈍感になる。
自分の腰は痛い。
でも続ける。
自分は疲れている。
でも笑う。
自分は眠い。
でも予約がある。
目の前の人の身体を大切にする仕事をしながら、自分の身体だけを雑に扱ってしまう。
これは、少し悲しいことだと思います。
お客様に、
「無理しないでくださいね」
と言えるなら、
同じ言葉を自分にも言っていい。
むしろ、身体を扱う仕事をしているからこそ、自分の身体についても敏感であっていいのだと思います。

「休む」は、壊れてからすることではない
休むというと、
「限界になったら休む」
と考える人がいます。
でも、それでは休息が修理になってしまいます。
壊れたから直す。
動かなくなったから止まる。
そうではなく、壊れないために休むことも必要です。
たとえば、一日の予約の入れ方を考える。
施術と施術の間に少し身体を休ませる。
同じ姿勢を続けない。
睡眠を削りすぎない。
痛みが続くなら、放置せず適切な専門家に相談する。
こうしたことは、派手ではありません。
SNSに書いても「頑張っている感」は出ないでしょう。
でも、長く働くためには大切です。
身体は、今日一日の売上のためだけに存在しているわけではありません。
来月も使います。
来年も使います。
そして、この仕事を辞めたあとも使います。
仕事には終わりがあります。
でも、自分の身体との付き合いは、その後も続きます。
稼げる日に稼ぎたい気持ちと、身体
メンズエステの仕事では、日によって予約数が違うこともあるでしょう。
今日は予約が多い。
だったらできるだけ入れたい。
今月は少ないから、入る時に入っておきたい。
その気持ちもわかります。
収入が一定でなければ、働ける時に働きたいと思うのは自然です。
だから、
「疲れたら全部休めばいい」
という単純な話ではありません。
生活があります。
お金も必要です。
大切なのは、
「働くか、休むか」
という二択だけで考えないことです。
身体の負担を少し減らせないか。
予定の組み方を変えられないか。
休む時間を短くても作れないか。
翌日に詰め込みすぎないようにできないか。
100か0ではなく、身体と相談しながら調整する。
その感覚が必要なのだと思います。

身体の声は、いつも正しいのか
ただし、
「身体の声を聞きましょう」
という言葉にも注意が必要です。
身体が重いから、必ず休むべき。
疲れているから、必ず仕事をやめるべき。
そういう単純な話でもありません。
疲労にはいろいろあります。
少し休めば戻るものもある。
生活習慣から来ているものもある。
身体の不調が続くなら、自己判断だけで済ませず、医療機関などに相談した方がいい場合もあります。
身体の声を聞くとは、
「身体が言うことに全部従う」
ということではありません。
身体が発しているサインを、最初から無視しない
ということです。
自分の身体に注意を向ける。
必要なら休む。
必要なら誰かに相談する。
必要なら働き方を変える。
それも、自分の身体と一緒に生きるということだと思います。
「自分を大切にする」は、きれいごとではない
「自分を大切にしましょう」
よく聞く言葉です。
少しきれいごとのようにも聞こえます。
でも、身体について考えると、とても具体的な話になります。
今日はちゃんと眠る。
痛いところを放置しない。
食事をとる。
水分をとる。
休憩する。
無理な体勢を続けない。
限界の手前で気づく。
自分を大切にするとは、必ずしも自分にご褒美を買うことではありません。
もっと地味です。
自分の身体を、使い捨てにしないことです。
身体を使って働く人ほど、
「今日はどれくらい働けるか」
だけではなく、
「今日は私の身体はどうだろう」
と聞いてみてほしいと思います。
そこには売上とは別の基準があります。
まとめ その身体は、仕事を辞めたあともあなたと生きていく
メンズエステの施術で身体がしんどい。
腰が痛い。
脚が重い。
肩がつらい。
疲れが取れない。
それでも、
「予約があるから」
と働く日もあるでしょう。
仕事をしていれば、多少の疲れはあります。
いつでも万全で働けるわけでもありません。
でも、忘れないでほしいことがあります。
あなたの身体は、施術のために存在しているのではありません。
売上を作るためだけにあるのでもありません。
その身体で仕事に行く。
その身体で家に帰る。
その身体で眠る。
その身体で好きなものを食べる。
その身体で誰かと笑う。
その身体で、これから何年も生きていく。
セラピストを辞める日が来ても、その身体との生活は続きます。
だから、
「まだ働けるから大丈夫」
だけを基準にしなくていい。
「私は今、どんな感じだろう」
と、自分の身体にも尋ねてみる。
お客様の身体の小さな変化に気づくように、自分の身体の小さな変化にも気づく。
それは仕事を怠けることではありません。
自分が自分として長く生きていくための、当たり前の配慮です。
仕事のために身体があるのではありません。
身体とともに生きているあなたが、その人生の一部として仕事をしている。
順番は、こちらなのだと思います。
こちらもおすすめ。人気コラム
-
【お悩み相談室】男性は若い子のほうが好きですか?
Q. 同じメンズエステで働いている20歳の子は毎日指名をとっていますが、わたしは週に3人くらいしか指名してくるお客さんがつきません。男の人って、やっぱり若い女子のほうが好きなんですか?(31歳) A. そうですねえ、ピッチピチでパンパンのほうがいいですねえ、という答えが当然1つありますが、でもそれだけではない、絶対ないです。 むしろ、今の草食系男子を見ていたら、若い女子...
[続きを読む] -
【メンズエステお悩み相談室】施術のスキルが上達しても時給を上げてくれません。違法では?
●相談 施術のスキルが上達しても時給を上げてくれません。これって違法じゃないのですか? ●回答 法律のことはよく知らないのですが、たぶん違法ではないと思います。雇用契約に「施術のスキルが上達したら時給を上げます」と書いてあれば、その通りにしないと違法になるのかな? 違法というか、契約不履行になるのかな? 基本的には、メンズエステの業界って「施術料金の何割かをエステティシャンに給...
[続きを読む] -
ルックスに自信がないのですがメンズエステで働けますか?
●質問 私はルックスに自信がありません。しかし、メンズエステで働きたいと思っています。こんな私でも大丈夫でしょうか? ●回答 ルックスは実はあまり関係ないので大丈夫です。 健全メンズエステのホームページでセラピストさんの顔を完全に掲載しているお店は非常に少ないです。風俗店でもないのになぜか、顔の下半分を隠していたり、モザイクにしてあったり、はたまた目のあたりを隠していたりと、なにかとお...
[続きを読む]
この記事の感想