メンズエステでお客様の愚痴を聞くのに疲れた。「聞き上手」でいることにも限界がある

施術が終わったのに、なぜか気持ちが重い
メンズエステで働いていると、お客様からいろいろな話を聞くことがあります。
仕事がうまくいかない。
上司が嫌い。
夫婦関係がしんどい。
会社を辞めたい。
最近、何をしても楽しくない。
最初は何気ない話だったのに、気づけばかなり深い話になっていることもあるでしょう。
こちらも、
「それは大変でしたね」
「わかります」
と聞く。
お客様は帰る時に、
「話したら楽になったよ」
と言ってくれる。
それはうれしい。
でも、お客様が帰ったあと、なぜかこちらがぐったりしている。
身体ではなく、心が疲れている。
そんな経験はないでしょうか。
人の話を聞くことは、何もしていないように見えて、意外とエネルギーを使います。
とくに「聞き上手な人」ほど、疲れやすいことがあります。
聞き上手な人は、ただ黙っているわけではない
人の話を聞く時、私たちはただ音声を聞いているわけではありません。
「それはつらかっただろうな」
「この人、本当は寂しいのかな」
「ここは何も言わない方がいいかな」
相手の表情を見る。
声の調子を感じる。
言葉の裏側を想像する。
そして、相手が話しやすいように自分の反応を調整する。
聞き上手な人は、これを自然にやっています。
だから相手は、
「この人なら話せる」
と思う。
すると、さらに深い話をするようになります。
これは一つの才能です。
でも、才能は使えば疲れます。
たくさん歩けば脚が疲れるように、たくさん人の感情を受け止めれば心も疲れます。
「話を聞いただけなのに疲れた」
のではありません。
ちゃんと聞いたから疲れたのです。

「共感する」と「同じ気持ちになる」は違う
ここで大切なのが、共感という言葉です。
共感することは、相手とまったく同じ気持ちになることではありません。
たとえば、お客様が会社の上司について怒っている。
こちらも一緒になって、その上司に腹を立てる必要はありません。
「それは嫌だったんですね」
と、その人が怒っていることを理解する。
それで十分です。
でも、優しい人ほど一歩先へ行きます。
相手が悲しければ、自分も悲しくなる。
相手が怒っていれば、自分も腹が立ってくる。
相手が苦しんでいれば、なんとか助けてあげたくなる。
そして、お客様が帰ったあとも、
「あの人、大丈夫かな」
と考える。
ここまで来ると、「聞く」から「背負う」に少しずつ変わっています。
人の苦しみを解決するところまで、自分の仕事にしなくていい
話を聞いていると、何か言ってあげたくなることがあります。
「こうした方がいいですよ」
「そんな会社、辞めた方がいいですよ」
「奥さんとちゃんと話した方がいいですよ」
でも、人の人生は複雑です。
数時間話を聞いただけではわからないことがたくさんあります。
そして何より、その人の問題を生きるのは、その人自身です。
哲学者レヴィナスは、他者を、自分が完全に理解し尽くすことのできない存在として考えました。
私は、この考え方は人の話を聞く時にも大切だと思います。
「この人の気持ちは全部わかる」
と思わない。
「私がなんとかしてあげなければ」
とも思わない。
わからない部分を残したまま、それでも目の前にいる人の話を聞く。
それでいい。
他人を大切にすることと、他人の人生の責任を引き受けることは違います。

「話したら楽になった」で十分なこともある
お客様から悩みを聞くと、
「何か役に立つことを言わなければ」
と思う人もいるでしょう。
でも、話す人は必ずしも答えを求めているとは限りません。
ただ、
「それは大変でしたね」
と聞いてほしい。
自分が嫌だったことを誰かに話したい。
言葉にすることで、頭の中を整理したい。
そんな時もあります。
だから、
「何も解決してあげられなかった」
と落ち込む必要はありません。
そもそも、解決することが求められていなかったのかもしれません。
お客様が、
「ちょっと楽になった」
と思って帰った。
それなら、その時間には十分な意味があったのではないでしょうか。
心にも「ここから先は相手のもの」という境界線がいる
人の話を聞く時には、心にも境界線が必要です。
目の前にいる間は、話を聞く。
つらかった気持ちを想像する。
必要なら言葉を返す。
でも、施術が終わって相手が帰ったら、その人の人生もその人に返す。
冷たく聞こえるかもしれません。
でも、これは突き放すことではありません。
相手の人生を相手のものとして尊重することです。
「私がこの人を救わなければ」
と思うことは、一見とても優しい。
でも裏返せば、
「この人は私がいなければ自分の人生を生きられない」
と考えることにもなります。
相手には、相手自身の力があります。
だから、全部背負わなくていい。

まとめ 話を聞いたあと、その人の荷物まで持ち帰らない
メンズエステで、お客様の愚痴や悩みを聞く。
「話してよかった」
と言ってもらえる。
それは、あなたが安心して話せる人だからかもしれません。
でも、安心して話せる人であることと、すべてを受け止める人であることは違います。
話は聞く。
気持ちは想像する。
でも、相手の問題を自分の問題にしない。
そのくらいの距離があっていい。
人の話を聞いて疲れた日は、
「私は今日、ちゃんと人の話を聞いたんだな」
と思ってみてください。
そして仕事が終わったら、少し自分の世界に戻る。
好きなものを食べる。
音楽を聴く。
お風呂に入る。
自分の生活をする。
お客様が置いていった言葉を、全部家まで持って帰らなくていいのです。
聞き上手とは、何でも背負える人ではありません。
相手の話を相手の話として聞き、最後には相手に返すことのできる人。
長く人の話を聞き続けるためには、そんな優しさも必要なのだと思います。
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