「抜いてほしい」と言われたとき──セラピストとして、心を守るための境界線の引き方

2025 11/21
「抜いてほしい」と言われたとき──セラピストと...

●質問
リピートしてくださるお客さんに「抜いてほしい」と何度も言われています。言葉にされるたびにストレスを感じてしまい、接客のたびに心が重くなってしまいます。お店に相談しても、「うまくかわしてね」と言われるだけで、根本的に状況は変わりません。どう対応すればいいでしょうか?

●回答
1.まず理解しておきたい「構造的な問題」
この問題を抱えているのは、あなただけではありません。メンズエステという業態そのものが、性的な接触を禁止されながらも「密着」や「癒し」を売りにしているため、グレーゾーンの欲望を前提に成り立っています。

セラピスト側は「健全なお店」として真摯に働こうとしても、男性客の多くは“性的期待”を完全に切り離せません。法律では明確に禁止されていますが、現場の空気の中では常に「境界線の攻防」が続いている。

つまり、あなたのストレスは「個人的な問題」ではなく、業界の構造的なひずみから生まれているのです。だからこそ、恥じる必要はまったくありません。

2.男性の「欲望」と「孤独」の関係
「抜いてほしい」という言葉の背後には、単なる性的衝動だけでなく、孤独と承認欲求が潜んでいます。

男性の多くは、社会的なプレッシャーの中で「優しさ」や「弱さ」を表現する場を失っています。その結果、唯一リラックスできる空間――つまりメンズエステで、“心の寂しさ”を性的な欲望に変換して表現してしまうのです。

つまり、「抜いてほしい」という言葉は、あなた個人への侮辱というより、自分の寂しさを処理できない男性の未熟なSOSでもあります。だからといって、それを受け止めなければならない義務はあなたにはありません。

3.「断る」とは、相手を拒否することではない
多くのセラピストさんが、「断る=お客さんを失う」と感じてしまい、強く言えないままストレスを抱え込みます。
でも実際には、「断ること」は相手の人格を否定することではなく、関係を適切な形に保つための線引きです。

具体的には、次のような言い方が自然です。

「それはできません。でも、施術でしっかり癒せるように頑張りますね」

このように、禁止事項を淡々と伝えつつ、「あなたを癒したい」というスタンスを残すことで、距離を取りながらも信頼関係を崩さずに済みます。「拒絶」ではなく「調整」。これが大人のコミュニケーションです。

4.「かわす」技術よりも、「かわしても病まない」心を持つこと
お店や同僚から「うまくかわして」と言われることもあるでしょう。しかし、何度も同じことを言われ続けると、心が疲弊していきます。本当に大事なのは、かわした後に傷つかない心の仕組みをつくることです。

たとえば、こう考えてみてください。

「この人は、私を性的に見ている」のではなく、「性的な役割を投影して見ている」だけ。

「私」という存在そのものを否定しているわけではない。

そう捉えると、少しだけ心が軽くなります。
お客さんの言葉を「個人攻撃」ではなく、「社会的構造の反映」として距離を取るのです。
それが、心を守る最初のステップです。

5.「お金」と「尊厳」のバランスを考える
正直なところ、この問題の背景には「お金」の要素もあります。
たとえば、性的要求をはっきり断った結果、リピート客が減ってしまうこともあるでしょう。だからといって、「断る勇気を持て」というだけでは、現場のリアルには寄り添えません。

そこで大切なのは、“長期的な自分の尊厳”を基準に判断することです。
一時的に収入が増えても、あなたの心がすり減ってしまえば、いずれ働けなくなってしまいます。月に数万円多く稼ぐよりも、心の平穏を保ち、長く続けられる働き方を選ぶことの方が、結果的に経済的にも安定します。

6.「お店」や「制度」に頼る勇気
本来、このようなケースは個人で抱え込むべきではありません。お店側がきちんと対応する責任があります。

「リピートしてくれているから」といって問題行動を見過ごす店舗は、長期的に見ればセラピストの離職率を上げ、店の信用を失います。それはあなたの責任ではなく、マネジメントの怠慢です。

もし相談しても軽視されるようであれば、信頼できる他店舗への移籍を検討するのも立派な判断です。「環境を選ぶこと」は、「自分を守ること」と同義です。

7.“性”をめぐる対話を、もう少し誠実に
「抜いてほしい」と言われてしまうこの構造自体が、実は社会的な課題です。性をタブー視する文化の中で、男性も女性も「どこまでが健全なのか」を学ぶ機会を奪われてきました。

その結果、男性は欲望を適切に扱えず、女性は断ることに罪悪感を持つようになってしまった。この歪みの中で、あなたが苦しむのは当然のことです。

だからこそ、あなたが「断っていい」「嫌だと思っていい」と自分に許可を出すことは、この社会に対してとても意味のある“静かな抵抗”なのです。

8.「本能」は止められなくても、「境界」は守れる
男性の性的衝動を完全に止めることはできません。それは本能みたいなものであり、誰かを悪者にすることもできません。けれど、人間である以上、理性によって距離を取る力を持てます。

あなたは、その理性を代表して働いている。
だから、堂々としていていいのです。
「私はプロとして、自分と相手の境界線を守る」――そう心の中で言葉にしておくと、不思議と姿勢や目の力も変わります。

9.最後に
「抜いてほしい」という言葉に対して、あなたが不快に感じるのは当然です。それは“心が健全に機能している証拠”です。
世の中には、「そんなの割り切ればいいじゃん」と言う人もいます。けれど、それを「割り切れない」と感じるあなたの繊細さこそが、人を癒せる力の源です。

どうか、その感受性を否定しないでください。
そして、同時に、自分を守る知恵を少しずつ育ててください。
そのバランスを覚えたとき、あなたはもう“ただのセラピスト”ではなく、
人を癒す力と、自分を守る強さを両立できる大人の女性になっています。

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